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10月26日(日)/快晴

今日は、朝から素晴らしいお天気です。近くの大庭城址公園の山もほのかに色づき始めています。空には一片の雲もなくカラリと晴れ、爽やかな空気が秋の深まりを告げています。つい昨日のような、あの夏の暑さが夢のようです。

さて、作品集には、『シルバー・ロマン・シリーズ vol.2/青春ドライブ』が掲載されました。

この前の手紙にも書きましたが、このシリーズは中年女性を対象に、ちょっとアヴァンチュールを匂わせた軽い読み物です。バブル景気が崩壊し始めた頃、或る雑誌社の依頼を受け、新しい雑誌発刊の企画に合わせて書かれたシリーズです。作風ががらりと変わって戸惑われる方もあろうかと思いますが、肩肘張らず楽しんでいただければと存じます。(その雑誌の発刊は、景気の急降下と共に沙汰止みとなってしまい、これらの作品も陽の目をみることはなかった訳です。)

『シルバー・ロマン・シリーズ』は第3作まであります。依頼に合わせて5作品を仕上げたのですが、先頃、推敲をしていくうち、通俗的に過ぎると思われる2作品を削除しました。

さて、『その先の海』について多くのご感想をいただいており、読者の皆様には厚く感謝を申し上げます。また、ご質問も折々いただき、都度、遺漏なくご返事を差し上げておりますので、不明な部分がありましたら、遠慮なくお尋ねください。ただ、気の短い方でしょうか、“この先、航海はどう進行するのか?”というご質問もありますが、物語を語る側といたしましては、途中で顛末を述べる訳にも行かずご容赦をいただくことにしております。

先日、或る会合に出席しましたら、作品集の『癌』を私の航海記と誤解されている方が結構いらっしゃることに気がつきました。

“zenさんは、今でも癌と闘っているのですか?”とか、“イギリスの貨物船に衝突されてヨットが沈没した時は、怖ろしかったですか?”と尋ねられたのです。

航海記は『その先の海』(舵誌に連載。10月号で終了)の方で、『癌』は第四回・鳥羽マリン文学賞に応募し、受賞した小説です。『癌』の制作は1992年頃で、まだ世界周航の具体的な計画も立てていなかった頃のものです。

ただ、授賞式の後、審査員の作家たちと受賞者が懇談会を行いましたが、その席で阿刀田高氏か山崎洋子氏が“どういう発想でこの作品を書いたのですか?”と尋ねられ、“これは、私の将来のシナリオです”とキザな返答をしております。

また、『その先の海』の初回に書かれているように、私が会社を早期退職する理由を社長に尋ねられて、思わず“ヨットで世界周航の旅に出ます”と口走ったことがありました。潜在意識に世界周航の夢があったのでしょうが、それら二つの突飛な発言こそ、私が航海を決断する引き金になったことだけは確かなようです。

今年の冬には、新型肺炎の再流行が噂されています。肺炎の明確な実態が分からず予防の対策も手薄のようですが、いずれにせよ風邪を引かぬように注意することが新型肺炎の予防にも繋がるそうです。過労や寝不足を避け、うがい、手洗いを実行し、引いたと思ったら早めの対策を・・・何だか、風邪薬のコマーシャル・メッセージみたいですね。

Zen


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