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今日はアメリカズカップについて現地からの様子をお知らせします。

正直なところ、地元での盛り上がりはさっぱりです。

NZのボートが、目下行われているルイヴィトンカップ(アメリカズカップ挑戦者決定戦=予選)には出てこないことも褪めている原因の1つでしょうが、それよりも商業的に利用しようという意気込みがまるでないNZの呑気さに原因しているように思えます。

その証拠に、ハーバーの1等地がAmerica's Cup Villageと称し、各チームの基地が軒を並べレース艇が大型のバージに引かれて出入りし、観光客や各国から来た100〜150フィート級のメガヨットが妍を競う場所があります。そのハーバー沿いに、それらを見下ろす眺めが売り物のアパートメントが新築中ですが、今だに半分ほどしか工事が進んでいない有様です。この分ですと、完成は来年の春、すなわちアメリカズカップが終わってからになるというのが一般の観測です。従って、着工前にアメリカズカップをお祭り気分のど真ん中で眺めようと購入した人々の大半がキャンセルしているという噂です。

これでは、せっかくの経済波及効果も台なしです。NZの経済は現在かなり混迷しており、ニュースではNZ経済を「バンジージャンプエコノミー」と称するほどですが、国民には全くそうした認識はなく、それぞれが可能な範囲で生活を享受し満足している様子です。

一方、レースの方ですが、昨11月20日で第2ラウンドロビンを終わり、そろそろ隠し所もない術策で牙を向き合う第3ラウンドロビンに向け準備にかかっているようです。第3ラウンドロビンは12月2日から12日のゲームになりますが、選手達のトレーニングもさることながら、艇の整備、改造に心血を注いでいるところです。

順位は1位がイタリア(プラダチャレンジ)、2位アメリカトゥルー、3位チーム・デニスコナー(スターズ&ストライプス)、4位アメリカワン、5位ニッポンチャレンジ、6位ヤングアメリカ、以下スペインフランススイスオーストラリアと続きます。

話題は何といってもイタリアの連戦連勝です。ほとんど取りこぼしがなく、ミスもトラブルもなし。たまにセールトラブルがあっても、相手も同様のトラブルを起こすという幸運に恵まれています。

ただ、プラダはマッチレースとしての接近戦をほとんどやっていません。ですから、先日の日本との対戦でマッチレース世界ランキング1位のピーターギルモアの舵さばきでスタートライン外に追い出され、最終レグで日本のディスマストがなければ圧勝していたという状況です。

次のラウンドではギルモア、デニス・コナー、カートライト等の名手達に追い回され、順位も相当に入れ替わってくると思われます。

或いは、準決勝に本命といわれたチーム(アメリカワン、アメリカトゥルー他)と戦うのではなく、プラダと雌雄を決するほうが楽と踏んで、目下厳しく追い上げないのだという、穿った見方もあります。現在プラダ46点、2位のアメリカトゥルーが38点です。次のラウンドでプラダがどこかに負け、アメリカトゥルーがどこかに勝てば同点になる訳です。

ただ、驚くべきは1ボートキャンペーン(レース艇1隻だけでアメリカズカップに挑んでいること。日本、プラダ、アメリカワンなどは2ボートキャンペーン)の、アメリカトゥルーとスターズ&ストライプス(チームデニスコナー)が2、3位を占めていることです。スターズ&ストライプスの予算は2億5000万ドル。イタリアの10億ドルの4分の1の資金で、衰えたりといえどもさすがはデニスコナーと今、少し見直されつつあります。

最小の予算はヤングオーストラリアで1000万ドル。レース参加金だけで、他の費用は選手各自の負担という噂です。そのせいか、オーストラリアの選手は学生たちの泊まるホステル住まいで自炊しているそうです。他のチームは一流の長期滞在型のホテルで悠々と構えているというのに。

現在の様子から見るとセミファイナル(ルイヴィトンカップの準決勝)に日本が進むのはほぼ間違いありません。問題は決勝、すなわちNZに挑戦するチームレースにどことどこが出るかです。今の様子では上位6チームのどこが出ても不思議ではない状況ですから、風が強くなれば日本は最も有力なチームの1つです。しかし、その頃(年明け)は例年風が弱いというのが大方の見方ですから予断は許しません。

日本の抱える問題はギルモア艇長とチームの日本人のコミュニケーション、つまり言葉の問題があるようです。先日日本艇がディスマストした時のギルモアのインタビューで、そんな悩みをちらりとのぞかせていました。

しかし、先日ニッポンチャレンジノパーティに招かれ、ギルモアと話して見ると大変完成度の高い日本語を話していました。彼自身、選手たちとはほとんど日本語で話していますが、いざ緊急の場面ともなると或いは言語は1つの壁になるのかもしれません。

以上がアメリカズカップ挑戦艇決定戦、ルイヴィトンカップの様子です。第3戦は上記のとおり12月2日から始まり、呑気なキウィーたちも、そろそろ強い関心を持ちだすはずです。特に、ラグビーのワールドカップで最強といわれながら4位に低迷した反動がアメリカズカップに寄せられるとしたら、特に年明け以降の熱狂ぶりは見物といえるでしょう。

ちなみにレース海域で練習しているNZ艇をよく見かけますが、実に滑らかな走りで、ピッチングも少なく、相当に早い艇のようです。

私は目下YHAを出て、長期滞在型ホステルのHuia Residenceという所へ移りました。Cityの外辺の高台にあり、その11階に住んでいますが眺めだけは他の一流ホテル以上です。

部屋はシングルルームでベッド、机、ロッカーだけ。その他全ての施設は共同ですが週120ドル(約7200円)という、ちょっと日本では考えられない値段です。

各階のラウンジやグランドフロアーのロビーは世界中の人であふれ、その気になれば最良の英語トレーニングの場です。

それではまたお便りします。11月30日から10日程、南島を廻ってきます。

Zen, Nov. 21, 1999, Auckland, NZ


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