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12月19日(金) 快晴・気温16℃・北東の風5〜9m

冬独特のフェーン現象で、南関東は快晴が続いています。そのかわり、湿度はカラカラ。毎日のように異常乾燥注意報が出ています。
暖房を使うシーズンに異常乾燥状態で強い季節風が吹いているといったら、もう大火事の条件が勢揃いしているようなものですが、その割には消防車のサイレンを聞きません。
私がまだ幼かった頃は、いつもどこかで火事があったと記憶していますし、何年かに一度は大火といわれる大火事もあったものです。
生活の仕組みが変わって、或いは安全対策が発達して火事の発生は勿論、延焼しない素材や対策が徹底してきたということなのでしょう。それでもやっぱり、特にこの季節は火事とインフルエンザには気をつけたいものです。

先日、南太平洋の航海から今年の五月に帰って来られた天沼さんが、航海中に描いたスケッチを集めた個展を開かれました。

普通、個展というと人影も疎らで、客より展覧会関係者の方が多いものです。ところが、天沼さんのスケッチ展は、ちょっとしたパーティー会場のような賑わいと活気があるのです。
正直にいって、天沼さんは絵に関しては素人です。従って、ご来場の方々も壮大な芸術的感動を求めて展覧会に見に来られた訳ではないでしょう。
しかし、丹念に一点一点を観てゆくと、そこには天沼さんに絵を描くことを促した、或いは、絵を描かずにはいられなかった何かを感じることが出来るのです。
「絵を描くことを促した何か…」って一体何でしょう。
恐らく、ある種の感動です。それはカルチャー・ショックだったり、珍しかったり、目を疑うほど不思議だったり、思わずじーんと胸に応える素朴なひとコマだったり(私もほとんど同じ航路を航海したので、彼がどこでどんな状況でそのモチーフに遭遇したかは簡単に想像がつきます)……そうしたことが、普通の日本人ならカメラを向けるところを、天沼さんはスケッチの鉛筆を執った訳です。彼はスケッチを描くという行為を透して彼らと同化し、感動の本質を体感していったのだと思うのです。
私は、前述したように、天沼さんとほぼ同じコースを航海しました。しかも私はかつてプロのイラストレーターでした。絵はお手のものです。それなのに、私が7年余りの航海中に書いたスケッチはたった2点でした。他に、イマジネーションのコーラル・アイランドなどをCGで描いたもの数点…それが全てです。
この差は何だろう?私は本気で考え込んでしまいました。恐らく、それは航海に於ける心の余裕なのかも知れません。クルーがいるとか、シングルハンドだとか、そんなこととは無縁の絶対値としての心の余裕…おかしな表現ですが、そういうものの違いなのかなァ〜と思いました。

「その先の海」は、いよいよ後半に入ってきました。ニュージーランドを出てフィジーへ向かい、いま沿岸や島々をクルーズして訪ね歩く旅を始めたところです。
ピュアな感覚からいうと、フィジーやトンガ辺りは南太平洋のイメージの大らかさとはちょっと違います。非常に独特な文化性と、熱帯特有ののんびり感覚の底に犇く生きることへの切実さを帯びて、今まで歩いてきたフレンチ・ポリネシアなどとは何かが異質のです。
私たちは異文化を体感しに多くの国を訪ねるわけですが、はっきりいって、異文化というものは不快なものです。
私たちの感性に合わない常識が支配し、その不文律に統制された社会が快い訳がありません。
でも、その快くない部分を捲ってみると、民族の特性や歴史や、さらに彼らの社会や彼ら自身が舐めてきた辛さも見えてきます。
Part-4は、ぎくしゃくと躓きながらも異郷の文化に分け入っていく様が多く出て参ります。

どうぞ、この先もご愛読くださいますよう、お願いいたします。
もう12月も下旬に差し掛かりました。どうぞ、良い年を迎えられますようお祈り申し上げます。

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