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2月9日(日)/晴・気温12度

温かい一日でした。春の近さを感じるこの頃です。

昨日は、東京ボートショーへ行ってきました。

旧友の岸郁雄さん(艇名・ポインシアナ)、牛山さん(艇名・ひょうたん島)と会場入り口で待ち合わせ、久し振りに楽しい一日を過ごしました。会場では随所で古い友人たちと出会い、一人っきりの生活が当たり前の私にして、心を開いて言葉を交わす幸せを噛みしめました。

実は、時間に全く拘束されない生活をしている私にとって、「会場入口で十時半に」という約束は物凄いプレッシャーです。目覚まし時計を二個も枕元に置いて休んでも、所定の時間に起きられる自信が全くないのです。考えてみれば、この八年間というもの、時間に縛られたことは一度もなかった訳ですから、これは大変な試練なのです。結果、十一時に就寝して、朝六時まで、緊張でついに一睡もできずに夜を過ごしてしまいました。

朝八時の予定なのに、七時には家を出たということでも私の緊張振りがお分かり頂けるかと思います。でも、それが大いに役立つ結果となりました。何と、辻堂駅へ行くバスを乗り違えてしまったのです。行き先は間違っていなかったのですが、バスの道筋が恐ろしく遠回りのルートでした。少なくても三十分は予定より多くの時間を費やしました。

JRを新橋駅で降り、「ゆりかもめ」という無人電車に乗りましたが、かつて私が日本を出発して航海に出た頃には存在しなかった交通機関です。さらに、沿線の景色も全く見覚えがありません。それも当然です。八年前には東京湾(海)だった場所を埋立て出来た都市空間なのです。しかも天を突く摩天楼が林立する未来都市のような光景!何もかもが目新しく、私は完全に「おのぼりさん」でした。かつては、毎日毎日都心の職場(京橋)に通っていた私なのに、何だか取り残された旧時代の遺物みたいに頼りない気分でした。

でも、十時前には会場入口に到着し、無事岸さんや牛山さんにも逢えて愉快な一日を過ごした訳です。ボーショーそのものは、かつての面影もなく不況を反映して寂しいものでしたが、海を愛する人々の熱気は今も昔も変わりません。早く、かつての盛況を取り戻して欲しいものです。

七日夜、Eメールで鹿児島在住の片島さんから、八日、結婚式に出席するため横浜へ向かうというお便りが届きました。片島さんとは、ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、南太平洋をいっしょにクルーズした「唯我独尊」(通称・独尊)のファミリーで、馨さん、倫子さん、碧(あおい)ちゃん、それに一昨年生まれた水晶(みずき)ちゃんです。

彼らとは、初めにサンディエゴのミッション・ベイで出会い、その後、ライアティアで再会を果たし、以後、スバロフ、サモア、トンガ、ニュージーランド、フィジー、バヌアツと航路を共にした最も親密で懐かしいクルーズ仲間です。特に、当時四歳〜六歳だった碧ちゃんと私は大の仲良しでした。

ボートショーを見学した帰り道、何がなんでもお会いしたいと思い、宿泊のホテルを訪ねることにしました。場所は、「横浜みなとみらい地区」。この場所も、かつて私が日本にいた頃には、ほとんど更地の埋立地でしたから、さっぱり見当がつきません。今では、超近代都市で首都圏のデート・スポットななっていました。まるで迷子のように人に道を尋ねながらホテルへと歩きました。前夜一睡もしていないことに加え、すでにボートショーを歩き回った後でしたから、もうくたくたに疲れ果てていましたが、結婚式からホテルに戻ってきた片島ファミリーにお会いした途端、再会の喜びと懐かしさで疲れもいっぺんに吹っ飛んでしまいました。ロビーで待つ私に向かって駆けて来て、目の前でピョコンとお辞儀をした碧ちゃんは、見違えるほど大きく大人びていました。もう抱き上げてほっぺにキスをするような幼さではありません。残念でしたが、手を差し伸べて握手をしました。

他の人には、どんなに言葉を尽くしても理解はおろか想像もつかない世界をいっしょに歩いてきた人たちですから、互いの想い出話しは尽きることがありません。後から後からいろんな想い出が湧き上がってきて、時間が飛ぶように過ぎてゆきます。朝早く鹿児島を出て飛行機で羽田に到着し、午後は結婚式に出席してきたばかりです。さぞお疲れのことでしょうに、彼らは私の懐旧の思いに快く付き合ってくれました。

その想い出話しは、もう少し時期が先になりますが、私の《その先の海》南太平洋編に多数出てきます。お楽しみに!

ところで、《その先の海》掲載後のHP閲覧数が、一週間で100件を超えました。著者としてこんな嬉しいことはありません。心からお礼を申し上げます。また、航海記の文末に私宛のアドレスがございますので、読後のご感想など、どんな事でも結構ですからお寄せ頂ければ幸いです。励みにもなりますし、ご質問にはご返事を差し上げたいと思います。

春近しとはいえ、時折寒波が押し寄せ、風邪も流行っているそうです。どうぞお体をご自愛ください。

Zen


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