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今、新しくオーストラリアのビザを取得するためにニュージーランドへ来ています。ヨット「シーマ」の松浦氏共々、ビザのついでにアメリカズカップの予選を見て、もう何年も入っていない温泉にたっぷり浸かって、という結構のんきな計画でした。

ニュージーランドはオークランドに到着した翌17日、オークランドにあるオーストラリア総領事館へ申請に赴きました。ところが、銀行の残高証明がないこと、ビザを必要とする理由書がないことで出直しとなり、更に翌々日全てを整えて再度領事館へ行きました。少々もめましたが、代金も受け取ってくれたので、金曜日の朝、松浦氏と2人でレンタカーを借りてさっそうとロトルアへ向かいました。宿は元スチュアーデスの日本人エツ子さんが経営する(ご主人は観光ツアーバスのドライバー)、完全に日本と同じ温泉風呂がついたBest Inn Rotorua。

5日間、日に2度3度と温泉を満喫し、傍らマオリ・コンサート(オールブラックスのファカの元になっているマオリ族の歌と踊り)を観たり、Geyser(間けつ泉)の噴射や様々な温泉の池を見物して過ごしました。

10/26日(火)松浦氏は南島観光へ向かい、私はレンタカーでオークランドへ戻り、宿のユースホステルにチェックインする前、ビザを受け取りに(松浦氏の分も)領事館へ行きました。申請料のレシートとパスポートをオフィサーに渡して、1時間が過ぎました。少々不安になって、窓口へ行って、"Some problem?"(何か問題があるのか?)と尋ねても、「椅子に座って待て」としかいいません。2時間近く経過した頃、バリっとした服装のオフィサーが出てきて、私にパスポートと分厚い封筒を渡しました。ビザが下りたものと思い、"Thank you"といって受け取り、パスポートを開いてみても、どこにもビザがありません。椅子に座り直し、封筒のメールを読みました。何と、「あなたの申請は却下された。理由は………」という内容です。急いで先程のオフィサーを呼び、「意味が理解できない」と説明を求めました。答えは、「そういう手段で偽ってオーストラリアに住む人が多いので、紛らわしいものはこういう扱いになる」という返事です。さらに、「あなたは、いかなる方法においてもオーストラリアへの再入国はできない(Anything, Anyway!)というのです。終いには双方感情的になってきます。ビザの発給とはかなりオフィサーの胸三寸の部分もあり、これ以上意固地にさせてはまずいと判断し、談判は小一時間で終わりました。

目下のところ、オークランドに住み着いたヨット「エイプリルフォース」のクニとノビ夫妻だけが相談相手ですが、いざとなればlawyer(弁護士)に頼むしかありません。

今朝は車で30分以上走ってクニが来て相談にのってくれました。結果は、理由書が私の英語力の不足が原因で誤解されている可能性があるので、私が日本文で申請理由を書き、プロの翻訳家に英訳してもらうこと。さらに、ムルラバヨットクラブのマネジャーに禅を預かっていること、禅は来シーズン(来年5月)にスタートすること、不法に居住しているものではなく、れっきとした世界周航セーラーであることを証明した手紙をもらうこと、などのアドバイスを受け、早速その手配にかかりました。マリーナのイアンに電話し事情を説明しますと、すぐに小型艇担当の税関とコンタクトし、イミグレーションに事情を説明する用意があることを表明してくれ、夜にはイアンから必要な要件を全て満たしたFaxが届きました。一方、私は理由書の和文を作成し、トランスレーターに連絡し明朝会う約束をしました。 理由書の英訳が金曜日いっぱいかかるので、再申請は早くて月曜日になります。

今の状態ではヨットのあるオーストラリアに戻れませんし、必要な修理もストップし、来年5月の出帆も不可能になります。何からどう手をつけたものか思案に暮れています。松浦氏に連絡をとろうとしましたが、遂に昨日は連絡がつかず、今日バスツアーの宿泊先であるクインズタウンでやっとつかまえ事情を話しました。結果は、2人でアタフタしてもしょうがないので、松浦氏は帰りの航空券が無駄になることを覚悟の上で(私も同様)ゆっくり南島を楽しんでくることになりました。

アタフタする割には、松浦氏も私もどこか楽観的でのんきです。駄目なら駄目で、現在いるニュージーランドに3ヵ月居られるし、ノーフォーク島でETAS(短期のビザ)ならもらえるという情報もあるし、それでも駄目なら暫く日本へ帰るという手もあるし……なんて考えています。

しかし、マジに言って、今後のクルーズが中断(または断念)か継続かの瀬戸際にいることは確かです。今後、どう展開したかは都度報告することにします。

アメリカズカップの盛り上がりはオークランド市内では全く感じられません。港のアメリカズカップビレッジだけが派手に騒いでいるという印象。

ニッポンチャレンジのベースを訪ね、サンディエゴ以来の友人、ニッチャレのシェフの北村氏に再会し、ベースの中を案内してもらいました。一般のヨット乗りの常識から見るとアメリカズカッパーは化け物みたいなヨットです。最初のラウンドが今日で終わり、5.5勝、0.5の勝ち越しで11/6の第2ラウンドロビンを迎えます。ビザの件に併せ、こちらの方も報告します。それではまた。

27 Oct. 1999, Zen, Auckland, NZ


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