ホーム
Home2月6日(火)/晴・曇・28℃・南東の風20Kn/Very fine
昨日は忙しい一日でした。
まず、9時にRonとLyanという船舶電気のスペシャリストが来て、マストトップに風速と風向を測定するトランスジューサーを取り付け、そのコードをマストの中に配線し、船内へ引き込むところまでを終えました。その後、Ronと私は、ジャンクション・ボックスを買いに、彼の車で隣町のMarochdoreへ行きました。それらが終わったのが午後2時。遅い昼食を済ませ、さて、スーパーマーケットへ食料を買いに行こうかと思いましたが、Lyleが午後来ることになっていたので、出掛ける訳にもいかずキャビンの掃除などしていました。4時近く、Lyleが来て、頼んであった$60のフォーンカードを届けてくれました。
カードは電話に入れるのではなく、塗料でカバーされている部分をコインなどで削って、その下に印刷されている数字を出します。カードの裏にある番号をcallし、音声の指示に従ってダイヤルをプッシュします。全てが完了すると、通話料金$60まで掛けられる電話になるという仕組みです。日本のシステムと同じでしょうか?
電話は息を吹き返しました。しかし、午後7時前は1分=$1.10です。7時から9時までが¢22。9時以降朝5時までは15分間無料です。せめて7時までは待たなくてはなりません。
食事を終えて、少ししてシャワーへ行き、戻ると丁度9時でした。早速PCを立ち上げ、Hotmailにアクセスしてみました。何と、callする音が聞こえ、やがて画面が現れました。しかも、「未開封のメールが6通あります」という案内まで付いて。一般の方には笑い話かもしれませんが、長い間、PCのインターネット接続に執念を燃やして(ただの試行錯誤ですが)きた私には、もう、感動的瞬間でした。
まずメールを読み、返信を書きます。しかし、15分間が過ぎると有料になるので、立ち上がりが滅茶苦茶遅いHotmailでは、一通のメールを読み返信を送ると、もう5分ほど超過します。都度、一旦接続を解き、再度立ち上げて・・・そんなことをやっているうちに、午前2時です。更に、“マイドキュメント”に書き溜めておいた『禅からの手紙』の原稿(6ページ)を、ドキュメントからコピーにして作成ページへ貼り付けし、(これは私にとって、大変な冒険です)サポートの増田さんへ送ってみました。届いたかどうかは知りませんが、もう3時も近い真夜中(夜明け前)、明日の(つまり今日)8時には例の電気技師のLyanとRonが来る関係で、6時半には起床したいと、逃げ込むようにベッドへ潜り込みました。
今朝8時、Ronがやって来ました。Lyanから連絡がないのだそうです。Ronは、昨日買ったジャンクションボックスにコードを通す穴を8個開け、穴毎にゴムの保護材を取り付ける作業を仕上げてきてくれました。それを届けて、電話連絡がついたら知らせるといってプッシュバイク(自転車)で帰って行きました。
さて、昨日5日は、舵誌の発売日でした。早速、2通のメールが舞い込みました。
一通はクルー応募。しかし、大学生の男の子です。私が募集しているのは、35〜55歳の女性である旨を返信しました。
もう一通は、艇の売買の問い合わせ。詳細にわたる質問にお答えし、この艇が、昨年事故を経験したこと(事故車と同じで、買い手は当然神経質になります)を事前にお知らせし、さらに、私は、多分航海を続けることになるであろうことや、もし、日本への短い航海を楽しみたいのならUSA西海岸を出発点にしてポリネシアを回り、ソロモン辺りから北上するコースが最高である(インド洋へ抜けるのならAUは最適だが、日本へのコースはかなり厳しく、その割に楽しみが少ない)ことなどを書いて送信しました。
今のところ、まだクルー応募で適格者は現れていません。まだ、発売して1日しか経っていないのですから、当然ですよね。
また重苦しく曇ってきました。予報は、25〜30Knのストロングウインド・ワー二ングを告げています。
それにしても、昨夜インターネットが開通して、今日はとても贅沢な気分です。
2月8日(木)/晴・曇・雨・30℃・東の風25Kn/Stormy weather
PCにメッセージが入ると、鋭い信号音が短く2度鳴ります。そうすると、通話料金の安い午後7時になるのが待ち遠しくなります。
今日、Ronは所要でBrisbaneへ行っています。朝早く来る人もいないので、ゆっくり9時半まで寝ていました。それでも、起きた途端に来客がありました。やっぱり、あまり何時までも寝ている訳にはいかないようです。
昼少し前にはバルクヘッドの補修(古い風速計などの穴を埋める)をしているTimが来ました。一度にあまり塗料を厚くペイントし過ぎたため、以前の作業は失敗で、塗料を全部剥がし、再度サンディングしてペイントのし直しです。
風が強いとはいえ、日中は天気も何とか持ったので作業は順調でした。
彼は25歳くらいのイギリス人で、非常に働き者で、しかも、とても真面目な男です。マリーナの誰からも好かれていて、仕事が途切れることはほとんどありません。ですから、彼に仕事を頼むには、或る程度余裕をみておかなくてはなりません。
私が彼に電話をして仕事を頼むと、丁度二つの仕事を掛け持ちでやっているところでした。当然、すぐには無理だろうと思ったら、何と、夕方5時から始めるというのです。後で訳を聞くと、彼は、NanbouというMarchdoreに近い所に家を買ったのだそうです。それで、今まで以上に働かなくてはならないんだ、といっていました。「若いのに、立派だね。大変な出費だろう」というと、「今まで一生懸命貯金してきたから、そんなにも大変じゃない。それに、銀行も気持ちよくお金を貸してくれたし」といいます。家の大きさはヘクタールでいわれてもピンときませんが、ゆったりしたバックヤードがあるそうです。オーストラリアでは、客をもてなすにはBBQ(バーベキュー)ですから、その為にはバックヤードは不可欠です。建物は、クインズランダーといわれる木造の高床住宅です。この辺りの古くからの建築様式です。階段を昇って玄関へ行きますが、玄関から家のぐるりは回廊になっています。夕方など、夫婦や家族がディレクティング・チェアーで寛いでお茶を頂いている風景をよく見掛けます。とてもいい雰囲気ですよ。居室は非常に天井が高く、外の木造からは想像がつかないヨーロッパ風の漆喰造作です。
Timの所の間取りは?と聞くと、3 bedroomとのことです。当然、他にリビングや書斎風の小部屋、キッチン、ダイニング、バスルームなどがついている訳です。値段を聞くと、土地・建物共々で$85,000。円に換算すると約550万円です。「古い家だからね」と彼はいっていましたが、それにしても少なくとも150坪以上のバックヤードがついてこの値段です。日本ではちょっと考えられない経済感覚です。
「でも、プロパティー(財産)をもつということは、面倒が多いということが分ったよ。登記や保険や税金や、その他、庭の芝刈りや傷んだ個所の修繕などで仕事をする時間が削がれてしまう。しかも、もっと頑張って働かなくてはならない状況だというのに」そうぼやきながらも、Timは少し嬉しそうでした。
「僕のドジで仕事が遅れて悪かったと思っているんだ。でも、今度はきれいに仕上がるよ」と、Timがいいます。本当に、滑らかにきれいなペイントです。「ナニ、出航は4月末だ。気にすることないヨ」私も、2年間のAU暮らしで、すっかり大陸的になってきたようです。
2月11日(日)/快晴・31℃・北東の風10Kn/Very fine
金曜日に、Kawanaへ買い物へ行く傍ら、Aqua‐tecへ寄ってみました。例の、2ヶ月前に頼んだガスボトルのラックが何時出来上がるのか、少し強く抗議しようと思ったからです。"Hey, Alan. How are you doing my order stuff?"と、強い調子でいうと、"It's already done"(とっくに出来てるよ)と、鬼の首を取ったような調子です。何と、折りも良く2ヶ月目に出来上がっていた訳です。意気込んで行った私は、ちょっと拍子抜けです。
「車か、それともディンギーで来たのか?」というので、ディンギーだというと、「金は何時でもいいよ。積んで持って帰りなよ」・・・あたかも、何一つ不都合もなかったといった口振りです。これほどアッケラカンとやられると、何だか、こちらが拘っているのが馬鹿みたいに感じられるから不思議ですよね。
艇へ戻り、ラックの取り付けから、ガスの配管の仕上げ(ロッカー内へ貫通する部分の水密処理など)、関連してロッカー内の清掃と整理・・・結局は、夕方までの大仕事になってしまいました。それでも、デッキの上もロッカーの中も整然としたのでいい気分です。
舵社へ国際電話(携帯で)を掛けてみました。担当者の西村君が出て、「クルー募集はキャンセルされたと聞いていますが・・・」と、いいます。「一寸お待ちください」と、他の人に代わり、更にもう一人別の人へ電話が廻され、再び西村君へ戻ってきました。舵社でも、お役所みたいなことをやるんだなア・・・と感心したり、呆れたり。挙句の果て、「それでは、もう一度FAXで原稿を送って下さい」
「舵」は、永年にわたり私のシーワージネスを育んでくれた雑誌です。私にとっては、真に信頼するものの一つです。だからといって、「舵」誌だけを頼りにした私が甘かったのでしょうが、それにしても、4月末の出航には、どうも間に合いそうもなくなってしまいました。クルーを乗せることは、次の航海の必須事項だったのに・・・。
あの几帳面なTimが約束の土曜日の午後に来ません。珍しいこともあるものです。しかし、こういう状況に私の方もすっかり慣れてしまい、もう少々のことでは驚かなくなっています。
毎晩、午前2時ころまではPC漬けです。大勢の方にモービルフォンの開通と新しいEメールアドレスをお知らせした関係で、ありがたいことにメールが沢山来ます。一つひとつ、じっくりと楽しんで読ませて頂き、すぐにご返事を書いて発信します。新しいアドレスは、61438141801@mobilenet.telstra.netです。お暇の折にでも、お声掛け下さい。
日曜日の今日は、何にもない一日。それでも、天気が最高に良く、滅茶苦茶暑い訳でもなし、風は穏やかに吹きわたり、この美しいサンシャイン・コーストでも最高の日でした。
zen/西久保 隆
以前の手紙